夏から秋は蜂が活発に活動する時期で、アシナガバチやスズメバチといった獰猛な性格の蜂達が多く飛び回っています。この時期になると増えてくるのが蜂に刺される被害です。蜂に刺されると、どういった症状が出るのかご存じですか。ほとんどの場合は痒みや腫れなどの軽症で済みますが、アナフィラキシーショックなど重症化してしまう場合もあるので注意が必要です。
今回は、蜂に刺されるとどのような症状が出るのか、刺された際の自分でできる対処法についてご紹介していきます。
蜂に刺されるとどのような症状が出るのか?
痛みや痒み
蜂に刺されると、痛みや痒みを伴う場合があります。これは蜂の持っている毒によるもので、刺された瞬間から痛みと痒みが襲ってきます。蜂の種類によって毒の強さが異なり、痛みと痒みの程度が違います。蜂によっては、その場で立っていられないくらいの痛みを伴う種類もいるので注意してください。
腫れ
刺された際に、蜂の毒の影響で皮膚が炎症を起こして赤く腫れあがってしまう場合があります。特に、獰猛で危険な蜂として広く知られているスズメバチに刺されると、腫れの症状が大きくなるので注意してください。あまりにも腫れが酷い場合は、氷などをつかって冷却すると和らげることができます。
熱を持つ
蜂に刺されることで、患部が熱を持ち炎症を起こします。患部と健康的な部分を比較すると、0.5度ほど患部の方が高いという結果も報告されており、個人差はありますが刺されることで患部の体温は上昇します。数日で症状は治まりますが、数日経っても熱がひかない場合は医者などで見てもらいましょう。
しびれ
刺された蜂の種類にもよりますが、患部のしびれが出る場合があります。全身がしびれることは稀で、ほとんどの場合は患部付近がしびれる程度です。他の症状と比べると軽い症状ですが、油断は禁物です。一度刺されただけでは軽い痙攣で済みますが、同じ種類のハチに2回目刺されると、刺された直後から痙攣の症状が酷くなることがあります。
アナフィラキシーショック
同じ種類の蜂に2回目以降刺されると、アナフィラキシーショックと言われるアレルギー反応が起こってしまう場合があります。症状としては、全身の痒みや蕁麻疹、赤く腫れる、強い腹痛や嘔吐、息苦しさ、血圧低下、倒れるなどといった重篤な症状が見られます。刺された直後からアナフィラキシーショックになるリスクが潜んでいるため、同じ蜂から2回目以降刺された際は特に気を付けましょう。
息苦しさや胸の締め付け
毒性の強いスズメバチに刺されると起こりやすい症状です。他の蜂に刺された場合でも息苦しさや胸の締め付けといった症状が出ることもありますが、刺された際の毒の量によって症状が変化します。立っていることができる程度の軽度の場合は安静にしていれば治まりますが、立っていることもままならない場合は、すぐに救急車などを呼んで病院などで見てもらってください。
腹痛下痢
腹痛や下痢が起こる場合は、アナフィラキシーショックの可能性が考えられます。蜂の毒の影響によって刺されてから1時間ほど経つと、気分が悪くなって腹痛や下痢などの症状が出る場合があります。異変を感じたらすぐに救急車を呼んで助けを求めましょう。
ぼーっとする
蜂に刺されると、毒に含まれている神経毒によって意識障害を引き起こす場合があります。神経毒は、ぼーっとする症状の他にも気を失ったり立ちくらみなどの症状も引き起こします。周囲に助けてくれる人がいれば、もし倒れても誰かが助けてくれるかもしれないですが、一人の場合は非常に危険です。異変を感じた場合は安静にして、周囲の人に助けを求め自分の体調を伝えておきましょう。
力が入らない
こちらも神経毒に関連した症状です。力が入りにくいなどの体調の異変を感じた場合は、すぐに休んでください。気を失っていきなり倒れてしまう場合もあるので、注意が必要です。蜂に刺されてから最初は元気でも、時間が経つと症状が悪化していくこともあるので、気を付けましょう。
刺された際の自分でできる対処法
もし、蜂に刺されてしまった場合はどのように対処すればいいのでしょうか。刺された際に自分でできる対処法についてご紹介していきます。
毒針が残っていないか確認する
もし蜂に刺されてしまったら、慌てずに落ち着いて刺された所に毒針が残っていないか確認して下さい。毒針が皮膚に残っていると、血管に入り込んだり、いつまでもズキズキするなど、症状を悪化させてしまう場合があります。健康上あまり良くないので、刺された際は毒針を皮膚からなるべく抜き取って下さい。抜き取る際無理に抜こうとすると、逆に押し込んでしまうことがあります。毒針はなるべく抜いた方がいいですが、慎重に抜かないとかえって押し込む場合があるので注意が必要です。毒針を抜く際に、ピンセットを使うと無理なく抜くことができます。応急処置の最中に気分が悪くなる可能性もあるので、周囲に人がいる場合は自分の体調を伝えておくと安心して処置しやすいです。
刺された患部を心臓よりも上に上げる
蜂に刺されると、体内に毒が注入されます。毒は少量かもしれないですが、血流の流れに乗って全身に行き渡ってしまい危険です。毒性が強いスズメバチや、毒性は弱いが刺されるとアナフィラキシーショックで死亡するリスクが高いセイヨウミツバチは、特に気をつけましょう。刺された患部を心臓よりも上に上げることで、蜂毒が全身に行き渡るのを遅らせることができます。そうすることで、アナフィラキシーショックなどのような重篤症状への悪化を防ぐことができるのです。もし、それでも気分が悪くなったり体調の異変を感じた際には、早めに助けを呼びましょう。アナフィラキシーショックの場合は、15分から20分ほどの短時間で呼吸困難や血圧の低下が起こることがあるので、異変を感じたらすぐに救急車など助けを呼んでください。
刺された患部を冷却する
蜂に刺された際には、患部を冷却することが有効です。蜂の毒は水溶性なので、水に溶けやすい性質があります。刺された直後に水で洗い流しましょう。刺されても時間が経っていないうちは、患部の周りに毒が残っています。全身には広く行き渡っていない可能性が高いので患部の周辺をつまみ、できる限り体内に入り込んだ毒を搾り出しましょう。注意点として、必ず毒針が刺された患部に残っていないか確認してから傷口を揉み洗いして下さい。皮膚に毒針が残ったままの状態で揉み込むと、毒針を更に押し込んでしまう可能性があるので危険です。刺された直後、すぐに冷却した方がいいのですが、落ち着いて確認しながら応急処置をして下さい。また、口で患部を吸って毒を吸い取る方法もありますが、そのような方法はあまりおすすめできません。もし、口内に傷があった場合、そこから蜂毒が侵入する場合もあるからです。
指輪など締め付けるものは外す
蜂に刺されてしまったら、指輪やネクタイ、腕時計など、身につけている物で締め付けるような物は緩めて下さい。蜂毒の影響で心拍数や血圧などが変化し、気分が悪くなることがあります。その際に体を締め付けているような物を身に付けていると、更に症状が悪化してしまう可能性もあるのでとても危険です。部分的に体を締め付けることで、蜂毒が全身に行き渡るのを防ぐという効果もありますが、同時に血液の流れも悪くすることに繋がります。血液中には酸素や二酸化炭素と結びついて、さまざまな働きを助けるヘモグロビンという物質が含まれています。体を部分的に締め付けることで、このヘモグロビンが全身に行き渡らなくなるので、息切れや頭痛などの身体的不調が起こりやすくなってしまいます。蜂に刺されると血圧や心拍数が変化するので、体を締め付けているものはなるべく緩めましょう。
まとめ
蜂に刺されると腫れや痒みなどの軽度な症状の他にも、吐き気や意識障害などといった重篤な症状も出る可能性があります。中でも、同じ蜂から2回以上刺されると「アナフィラキシーショック」と言われるアレルギー反応が起こってしまう可能性があります。これは、息切れや頭痛などの症状の他にも、強い腹痛、吐き気、血圧の低下、倒れる、意識の混濁などの重篤な症状も出てきます。アナフィラキシーショックの場合は、15分から20分ほどで体に異変が出始めるので、異変を感じたらすぐに周りに助けを求めて下さい。刺された直後は慌てずに落ち着いて、まずは患部に毒針が残っていないかしっかりと確認しましょう。毒針が残っていた場合はピンセットなどで取り除き、すぐに水洗いをしてください。その後はなるべく安静にして、身につけている物で締め付けるものがあれば緩めましょう。蜂に刺されることは何度もある訳ではないので、もしもの時のために自分でできる対処法を身につけておくと便利です。