危険度が高い蜂の種類とは?特徴と見分けるポイントを解説

「大きな蜂はぜんぶキケン?」「小さい蜂だから安全?」という疑問を持つ方は多いですよね、キャンプや自宅などで蜂と遭遇した際、危険な種かどうかを判断してスムーズに対処できると周囲からも信頼されるでしょう。

この記事では、危険度が高い蜂の特徴と見分け方を解説します。人を刺すキケンな蜂は種類が限られているので、ポイントを押さえることですぐに判別できます。

また、危険度の高い蜂に遭遇したときの対処方法も記載していますので、緊急の際に活用してください。

危険な蜂の種類と特徴とは?

人を刺すリスクがある蜂の種類は、実はそれほど多くありません。日本に生息する蜂はおよそ4,000種類以上いる中で、人を襲う種はわずかです。しかし、キケンな蜂に刺されると命に関わるほど重大な事故に繋がります。

毎年蜂による死亡事故が発生しているため、身を守るためにもキケンな蜂を区別できるようにしておきましょう。

見た目や巣の模様、形などの特徴がはっきりしているものが多いため、判別しやすいのが嬉しいポイントです。

人を襲う蜂3種類と見分け方

人を襲う蜂は大きく以下の3種類に分類できます。

1. スズメバチ

2. アシナガバチ

3. ミツバチ

それぞれどのような特徴があり、どのような巣を作るのでしょうか。順番にみていきましょう。

1. スズメバチ

以下の表にスズメバチの特徴と巣の作りについてまとめました。

項目特徴
見た目・約3cmと大型・黄色と黒色の縞模様がある
性質・攻撃性が非常に強く獰猛・警戒フェロモンを出す・巣に近づくだけで襲うこともある・攻撃態勢に入ると顎をカチカチと鳴らす・何度も刺せる毒針を持つ・強力な毒のカクテルを大量に持つ
巣の作り・ボール型で独特のマーブル模様がある※ただし、種によっては、営巣初期は逆さまのフラスコ型の巣を作る・60cm~80cmの巨大な巣を作る

荒々しい性格で警戒心も強いため、巣の近くを通るだけで襲ってくることもあります。強力な毒針で刺されると生命に関わるため、見かけても決して好奇心などで近づいてはいけません。巣を見つけた場合はすぐに業者に駆除を依頼しましょう。

2. アシナガバチ

以下の表にアシナガバチの特徴と巣の作りについてまとめました。

項目特徴
見た目・長い後ろ足をぶらぶらさせて飛ぶ・細身でスリム・大きなくびれがある
性質・比較的おとなしい性質・攻撃性は中程度・巣に近づきすぎると集団で襲う・何度も刺せる毒針を持つ
巣の作り・灰色でシャワーヘッドのような形・六角形の構造が並ぶ・大きさは15cm程度

総じて温厚な性格ですが、荒々しい性格の種も存在します。また、強い毒針も持っているため、刺されたときは迅速かつ適切な処置が必要です。穏やかな性格でも、敵だと判断されると襲ってくるので不用意に刺激しないようにしましょう。

3. ミツバチ

以下の表にミツバチの特徴と巣の作りについてまとめました。

項目特徴
見た目・全体的に丸いフォルム・2cm程度と小型・細かい毛が生えている・茶色と黒の縞模様がある
性質・穏やかな性格・自発的に襲うことはほとんどない・毒針は一度しか刺せない・針と一緒に毒嚢が抜けるため、多量の毒が針に供給される
巣の作り・板状の巣を何枚も作る・一枚の板に数千匹以上の個体が暮らす・巣全体では、数万匹の巨大なコロニーを形成する

小さくて丸みを帯びた可愛らしい見た目をしていますが、人を刺す蜂の仲間です。温厚な性格で自ら人を刺すことはめったにありません。

しかし、数万匹の大集団で生活しているため、一斉攻撃で何ヶ所も刺されるとアレルギー反応でショック死する恐れがあります。

超絶危険!スズメバチの種類と見分けるポイント

スズメバチの中でも特にキケンな以下の3種をピックアップし、解説します。

・オオスズメバチ

・キイロスズメバチ

・コガタスズメバチ

見た目や性質、危険な時期などの違いを1つずつ見ていきましょう。

オオスズメバチ

オオスズメバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・頭がオレンジ色で胸が黒い・腹には黒色と黄色の縞模様がある・羽が茶色い・顎が発達している・3-4.5cmと大きい(世界最大種)
性質・好戦的で、巣の近くを通るだけで攻撃される場合もある・飛ぶスピードは時速40km/hと早い・屋根裏などの閉鎖的な空間に営巣する・巣を放置すると80cmもの大きさになる
危険な時期8~10月

世界で最も大きな種類の蜂であり、ほかの蜂と比べるとがっしりした体格や発達した顎が大きな特徴です。体色は、頭、胸、腹でそれぞれ、オレンジ色、黒色、黄と黒の縞模様が見分けるポイントです。また、働き蜂の大きさは3cm前後ですが、羽を広げると5cmほどになります。

キイロスズメバチ

キイロスズメバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・体色は濃い黄色・羽が茶色い・大きくても3cmと小型
性質・警戒心が強くとても凶暴・少しの刺激でも襲うことがある・毒液を飛ばす・軒下やゴミ箱など、営巣場所を選ばない
危険な時期7~10月

ほかのスズメバチと比較すると黄色味が強く、腹に黒の細いラインがあるのが特徴です。大きさは3cm程度と小型のタイプに分類されます。自然の中だけでなく、ゴミ箱の中など人工的な場所に巣を作ることもあるため、もっとも被害の多い蜂の種です。

コガタスズメバチ

コガタスズメバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・頭がオレンジ色で胸が黒い・羽が茶色い・オオスズメバチと似ており、判別が難しい・2-3cmとスズメバチの中では小型
性質・オオスズメバチと比べて、攻撃性は低い・毒性は比較的低い・軒下やベランダなどの開放的な場所に営巣する・巣の形が、逆さまのフラスコ型からボール状に変化する
危険な時期7~10月

オオスズメバチと見た目がよく似ており、慣れていないと見分けるのは困難です。しかし、コガタスズメバチはベランダなどの開放的な場所に巣を作る点で、習性が異なります。比較的おとなしいタイプですが、危害を加えると一斉攻撃を行うので無闇に刺激しないようにしましょう。

油断厳禁!アシナガバチの種類と見分けるポイント

アシナガバチの中でも荒い性質を持つ以下の3種について、見た目の特徴や巣について解説していきます。

・セグロアシナガバチ

・キアシナガバチ

・フタモンアシナガバチ

おっとりしていると言われていますが、荒っぽい性格の種類も存在します。

順番に見ていきましょう。

セグロアシナガバチ

セグロアシナガバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・背中が黒い・足の先端が黄色い・腹に黄色の紋がある・触覚がオレンジ色・キアシナガバチと似ており、判別が難しい・大きさは2cm前後
性質・攻撃性は高い・強力な毒を持つ・軒下やベランダなどの開放的な場所に営巣する
危険な時期7~9月

アシナガバチの中では攻撃性が高く、黒い背中と腹に黄色の紋があるのが特徴です。キアシナガバチとよく似ており、専門家でないと区別するのは難しいでしょう。攻撃的な性格のため、見かけても近づかないことが大切です。

キアシナガバチ

キアシナガバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・体色は鮮やかな黄色・触覚の1/3がオレンジ色・セグロアシナガバチと似ており、判別が難しい・大きさは2.5cm前後(日本で最大のアシナガバチ)
性質・攻撃性は高い・毒性は強い・釣鐘型の巣を作る・森林や軒下などの開放的な場所に営巣する
危険な時期7~8月

セグロアシナガバチと似ていますが、体の色が鮮やかな黄色で、触覚の1/3がオレンジ色かどうかが見分けるポイントです。攻撃的で毒性が強く、森林などの自然の中に巣を作ることが多いため、登山やハイキング時は警戒して歩きましょう。

フタモンアシナガバチ

フタモンアシナガバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・全体的に黒っぽい体色・腹の背側に2つの黄色い紋がある・大きさは1.5~2.0cm程度と小型
性質・攻撃性は低い・毒性は低い・約10cm前後の釣鐘型の巣を作る・軒下や草むらなどの開放的な場所に営巣する
危険な時期8~9月

ほかのアシナガバチと見分けるポイントは、腹の部分にある対になった黄色の紋と若干小型である点です。比較的温厚な性質とはいえ、巣を刺激すると集団攻撃をしかけてくるので注意しましょう。毒性が低くても、何度も刺されるとショック反応で死亡する恐れもあるので油断は禁物です。

集団に要注意!ミツバチの種類と見分けるポイント

この章では、日本に生息しているミツバチ2種を紹介します。

・セイヨウミツバチ

・ニホンミツバチ

特徴の違いについて、順番に見ていきましょう。

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・体色はオレンジ色・1~2cm未満と小型
性質・攻撃性は低い・屋根裏などに巣を作る・越冬できるため、年間を通して刺されるリスクがある
危険な時期2月, 10~11月

ニホンミツバチと比較すると、体色がオレンジがかっているのが特徴です。性格は穏やかですが怒らせると、大集団で襲ってくるため刺される危険が高まります。また、女王蜂以外の蜂も越冬できるため、冬でも警戒が必要です。

ニホンミツバチ

ニホンミツバチの特徴について、以下の表にまとめました。

項目特徴
見た目・体色は黒っぽい・1cm程度と小型
性質・攻撃性は低く温厚・屋根裏や床下などの閉鎖空間に巣を作る・越冬できるため、年間を通して刺される危険がある
危険な時期2~3月, 10~11月

セイヨウミツバチとよく似ていますが、黒っぽい体色で判別できます。おとなしい性格で自発的に攻撃をしかけることはほとんどありませんが、冬場は攻撃的になりやすいため注意しましょう。集団で襲われると死亡事故にも繋がります。

危険度の低い蜂も存在する!

この章では、危険度の低い蜂について解説します。下記のように刺されるリスクが低い蜂も存在します。

・オスの蜂

・単独性の蜂

なぜ危険度が低いのか、順番にみていきましょう。

オスの蜂

オスの蜂は針を持っていないため、刺される危険はありません。蜂が持つ毒針は、メスだけが持つ産卵管に由来しています。そのため、凶暴なスズメバチやアシナガバチでも、人を刺すのはメスだけです。

蜂の中には、メス蜂のように針を刺す真似をする種類もいますが、針を持っていないため実際に刺すことはありません。

ただし、蜂の中でオスが存在する割合はおよそ1割未満ですので、蜂に遭遇した際は刺されるリスクの方が大きいため適切に対処しましょう。

単独性の蜂

ドロバチやクマバチなどの単独で行動する蜂は、めったに人を襲うことはありません。スズメバチなどの社会性の蜂と異なり、単独性の蜂が持つ針は敵を倒すためのものではなく、餌を狩る際の麻酔に使われるからです。温厚な種が多く、基本的に刺激を与えなければ襲ってくることはありません。

ただし、蜂を手で握ったり危害を加えるなどの行動をとると、護身のために刺されることがあるので注意してください。弱毒性の毒も含まれているため、刺された場合は病院で手当を受けましょう。

危険な蜂に遭遇した時の対処方法2選

この章では、キケンな蜂に遭遇してしまったときの対処法について解説します。ポイントは以下の2点です。

1. 極力近づかない

2. 蜂を刺激しないように離れる

1つずつ見ていきましょう。

1. 極力近づかない

蜂の種類を見分けようとして不用意に近づくと危険です。蜂は自分たちの巣の存在に気づかれると警戒体勢に入り、場合によっては攻撃をしかけてくるからです。特にスズメバチなど警戒心が強く好戦的なタイプの蜂は、巣の近くを通っただけで襲ってくることもあります。

ハイキング中や登山などで蜂の巣を見かけたときは、極力近づかず静かにその場から離れましょう。

また、車の中や室内に蜂が入ってきた場合は、照明を暗くし窓を開けて蜂が外へ出ていくのを静かに待ちましょう。

2. 蜂を刺激しないように離れる

スズメバチやアシナガバチに遭遇したときは、蜂を刺激せずに静かにその場から離れましょう。

この時のポイントは、以下の3つです。

・手で払わない

・大声で騒がない

・走らない

蜂は動いているものに敏感に反応します。そのため、蜂を追い払おうと手で払い除けたり、急に走ったりすると蜂を刺激してしまい、却って逆効果になります。また、大声で騒ぐことも蜂を怒らせる原因になるため、怖くても大きな声を出さないことが大切です。

キケンな蜂に遭遇したときは、騒がず冷静になり、ゆっくりと後ずさりしながらその場を離れましょう。

まとめ

本記事では、キケンな蜂の種類と見分け方のポイントについて解説しました。人を襲うリスクのある蜂は種類が少ないため、見た目や巣の特徴を押さえることで判別できるようになります。

また、おとなしい種類の蜂であっても、巣に危険を及ぼす存在であると判断されると攻撃してきますので、不用意に刺激しないことが大切です。

キケンな蜂に遭遇したときの対処方法も紹介しているので、緊急時に役立ててください。